解説:ステイン教国 戒律と炎が支配する宗教国家

コラム 国外

グランエルデには様々な国が存在しますが、その中でも特に厳格な戒律で知られるのが「ステイン教国」です。

この国は、女神ナイアの教えを信仰の中心に置き、炎を邪なものとして扱う宗教国家です。ステイン教の教典では、かつてグランエルデに存在し、人間を虐げていた炎の邪心を女神ナイアがうち倒したことでこの世界に秩序が生まれ、人間が人間らしく生きられるようになったと伝えられています。

女神ナイアと炎の邪神

そのため、ステイン教国では炎を扱う際、邪な心に憑りつかれないよう女神ナイアに祈りを捧げます。

祈りを捧げるステイン教徒

創設から1,000年を超える歴史を持つステイン教国は、グランエルデで最も古い国家です。現在は、大司教セルゲイ氏によって実権が握られており、彼の言葉一つで国の方針が決まると言っても過言ではありません。

大司教セルゲイ氏

また、ステイン教国は強力な騎士団を持ち、その騎士団長サーヴァン・ヴァレリウスはグランエルデ全土でその名を知られています。彼の率いる騎士団は、聖魔法の使い手が多く、その力は他国の騎士団と一線を画しています。

騎士団長 サーヴァン・ヴァレリウス氏

グランエルデでは、ステイン教国といえば厳格な宗教国家としてのイメージが強いですが、その堅牢な信仰の背後には強力な経済基盤があります。この国の主産業は大きく2つ「神聖布」と「遺物貿易」です。

ステイン教国は、特別な祈りを込めながら織られる「神聖布」で有名です。この布は普通の布とは異なり、聖魔法の力を帯びており、治癒効果があるとも言われています。そのため、他の国々からも高い需要があり、この産業は国の重要な収入源となっています。

また、ステイン教国は成り立ちが古いことから、国内にダンジョンとなった遺跡が多く存在します。

ダンジョンからは今は失われた技術で作られたアイテム「聖遺物」が出土するため、冒険者達は「聖遺物」を求め、日夜ダンジョン攻略を行っています。出土した聖遺物による貿易や、冒険者相手の商売もステイン教国の大きな産業となっています。

出土した聖遺物。
一人でに音を出す笛と、音を記録する箱。

しかし、最近では人気が高まっているリリアンの公式グッズも主要な収入源になりつつあります。彼女のグッズは若者だけでなく、意外にも教国の僧侶たちの間でもこっそりと流行っているとか。戒律が厳しい教国で、アイドルグッズがお守り代わりになっているなんて、誰が想像したでしょうか?

リリアンは、その魅力的な歌声とキラキラしたステージパフォーマンスで、若者たちの心を掴んで離しません。彼女のライブは教国内外から多くのファンを引き寄せ、特にステイン教国の若者たちにとっては、日常の厳格さを忘れる貴重な息抜きとなっています。

ステイン教の評議会はこの新たな流行に苦々しく思っており、何人かのメンバーはリリアンの人気が信仰心を薄れさせるのではないかと危惧しています。

評議会のメンバー、ダリア師は「若者たちが信仰よりも娯楽に心を奪われるのは悲しいことです。彼女はまるで堕落を招く悪魔のようだ」と心境を吐露しています。

評議会の重鎮 ダリア師

リリアンさんを認めない評議会とは裏腹に、ステイン教国騎士団長のサーヴァン氏はリリアンの親衛隊に加入しており、その影響か騎士団の他のメンバーもリリアンさんを応援する人数が増えているとのこと。戒律を重んじる評議会と、騎士団の間で対立が起っているのではと噂されています。

いかがでしたでしょうか。

ステイン教国におけるこの新たな文化的変化は、グランエルデ全土に波紋を広げており、宗教的な教義と現代的な娯楽の間で若者たちの心が揺れ動いていることを物語っています。

この対立がグランエルデ全体にどう影響を及ぼすのか、デイリー異世界は引き続き注目していきます。